「お前は俺のモノ」【完結】
restrain
――――――――………半年前。
「多恵!見た!?」
「んー?」
購買の定食を選んでいると、後ろから興奮した様子で私に話しかける陽子がいた。
大方予想はついてる。
私が通う大学には、有名人がいるんだ。
きっと、その彼の事。
「彬さんって本当にカッコいい!!
さっきもさ、メガネかけててそれが似合ってて…」
メガネって。
少し呆れながら私は陽子を見る。
そんな陽子を無視しながら、今日のお昼ご飯の食券を買っておばちゃんにだした。
今日はA定食。
サバの味噌煮と、お新香、味噌汁。
うん、日本人好み。
「もー多恵、聞いてる!?」
「はいはい、聞いてますよ。
彬さんが何だって?」
「聞いてない!」
「あはは」
そうやって、興味なさげな顔を見せるけど。
本当は、彼の事を密かに想っていた。