「お前は俺のモノ」【完結】
「……」


黙ったまま、着替える手を止めた彼が視線を床に落とす。
何も言わない彼に、少し不安を覚えた。


ああ、とかそんな素っ気ない言葉でも返ってくると思ってたのに。
無反応は予想外。



ゆっくりと視線を上げて私と絡め合わせる。
それから、彼は私に近付くと何も言わず抱き上げた。
それに今度は私が驚く。


「きゃっ」


お姫様抱っこをされて、彼は寝室へと向かう。

え。また…、抱かれるの?
どっか、行くんじゃないのかな。

正直、またはしんどい。



「…タエ」


思った以上に優しく、壊れ物でも扱う様に私をベッドの上へと下ろす。
ゆっくりと沈んでいく私の体に彼の体重が加わって、ぎしっと一度スプリングが軋んだ。
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