「お前は俺のモノ」【完結】
「多分、帰るの…朝だから。
だから、適当に風呂入って寝てて。
そんで、これで出前でも頼んで」
あれから、数分抱き合った後、彼は私の頬を一度するりと撫でた。
目を細めてから、立ち上がると着替えを再開する。
玄関で彼にさっきの事を言われ、お金を手渡されてメニューのある場所を教えてもらうと、私は何度も頷く。
決して喋らない方じゃないんだけど、彼といると自然と口数が減っていた。
「んじゃ」
彼が行ってしまった。
シンと静まり返るこの部屋に、少しだけ寂しくなる。
彼の部屋で初めて過ごす一人の時間。
やっと解放されたって思うかと思ったのに。
この意外な感情に、私自身戸惑っていた。