「お前は俺のモノ」【完結】
「…あのね、うまく言えないんだけど…。
アキラと恋人ではないんだけど…アキラのモノなんだ、私」
「………全然理解出来ません」
だろうな。
即答する陽子に苦笑する。
「…私、両親に売られたの」
「……は」
「そんでアキラに買われたの」
ぎゅっとパーカーの裾を握った。
「ちょ、っと待って。ごめん。更にわかんなくなった。
どういう事?」
「…うちの両親に莫大な借金があってね。
アキラがそれを肩代わりしてくれたんだ」
「ああ、そうなんだ。でも、それって…」
「うん、私にはもう自由はないかな。
家にも帰れないんだ」
「……多恵、何それ」
少し怒気を含んだ声が通話口からする。
ああ。怒ってくれたりするんだ。
それが嬉しく思う。