夏の日の思い出
その時、花火の音の中から声が聞こえた気がした。
耳を澄ましていると、その声は今度は、はっきりと聞こえた。

「大丈夫だ。」

その声は、もう二度と聞けないと思っていた声だった。

「大丈夫だ。俺は、いつでも君の傍にいるからだから、もう泣くな。」

彼の声は、そこで聞こえなくなった。

『待って!』

私の声は、花火の音に掻き消された。
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