ストーカー【感染】
ここはどこだろう。とりあえず真っ暗だ。
その暗闇の中で響く、私じゃない誰かの足音。荒い鼻息。それに不気味な雰囲気。
それらが一度に近づいてきて、私の感覚器官を刺激する。
ついに捕まったのか。なぜだか私はそう思い込んで諦めていた。目の前は真っ暗、抵抗してはいけないというプレッシャ-。もう逃げ出すことなど到底不可能だろう。
「やっと君を見つけた……」
声が私の耳元に向けられる。頬を撫でる湿っぽい手、小さな笑い声。気持ち悪い。いや、顔が見えないだけマシというものか。
もし私の視界がひらけていて相手の顔が見えているのだったら……。もう発狂する気もなくすだろうな。
案外冷静に頭は回った。
しかし。私の太もものあたりに冷たいものが当たった。この形状、この場面で使うもの……
刃物だ。それ以外思いつかない。
……殺される!!
「イヤアアアアアアアア!!!」