ストーカー【感染】

 目の前に広がるのは、手紙。ただそれだけだ。

 そりゃ、漫画みたいに靴箱からラブレターがあふれ出すってほどではない。だけど、少なく見積もっても十通以上はある。封筒のすべてが無機質なデザイン。おそらく、表面に書いてあるのは私の名前と、住所。それだけ。

 必要最低限のことしか封筒の表面には書いていないのに、余るほどの手紙がここにある。必要最低限、必要以上。矛盾してるわ。

 どうしよう。おばあちゃんにこんな光景を見せてしまったら、心配するに決まってるわ。かといって部屋まで持っていく間に、おばあちゃんに発見される可能性も否定できないわけで。

 ……埋める? いや、そんな時間はないわ。あまり時間をかけるとそれこそ心配したおばあちゃんとはち合わせ。スコップを持って手紙を地面に埋めている私……不気味すぎる。

 どうしよう。どうしよう。どうしよう……!

 恐怖心よりも、焦りの方が勝っていた。
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