離してなんかやるかよ。
「あー、そうだ!颯」
フライパンに入れた生地でパンケーキが何とか5枚焼けた頃、母さんが俺に何かを渡してきた。
「遊園地のチケット4枚貰ったんだけど今度柚來ちゃんと行きなよ!あたしは仕事忙しくて行けないから!」
母さんが渡してくれたのは遊園地の無料券。
遊園地に無料では入れるチケットが4枚。
4枚って多くね?
万が一あいつと俺が行くとしても2枚余るけど?
それに
「俺もバイトしてて忙しいんだよね」
「あー!カフェのでしょ?シフト断って違う人に変えてもらえばいいのよ!青春は高校生の間しか楽しめないんだから!ほら行きなさいよ〜」
そう母さんが言いながら俺の背中を押す。
目の前にはあいつ。
あいつはシャワー浴び終わったみたいでリビングにいた。
「あのさ…今度の土曜日遊園地行かね?」
そう言って俺はあいつに遊園地の券を見した。
土曜日はシフト入ってねーしシフト変更しないでいいし。
「…え?うん…。行こう!行こう!お化け屋敷とか行きたい!」
最初はあいつ腰を抜かしそうになってたけどすげぇ行きたいって喜んでる。
「お化け屋敷…」
だけどお化け屋敷って…。
ぜってー却下。
「神崎もお化け屋敷行こう「行かねぇ!」
「はいビビり〜」
は?
こいつ喧嘩売ってるの?
そう思ってたら
「え、まだ1枚しか焼けてないの?」
また喧嘩売ってきやがった。
「うん。颯が焦がしたのよ。だからあたしが食べちゃった」
「神崎〜。ばか」
あいつは母さんと何やら話しててどういうわけかまた俺をバカにしてきた。