離してなんかやるかよ。


「いったあ」


あいつは自転車と一緒にアスファルトに倒れてた。


自転車の下敷きになるっていうそんな恐ろしい感じじゃなくて自転車の横に倒れている。



まじですぐ学校の保健室に運ばねぇと…。



そう思ってたら、



「大丈夫!?」





後ろから男子があいつのとこへ来た。



ふわっと香るシトラスの香り。



松本…。



多分あいつをさっき呼んだのは松本。


あいつは松本から何でかわかんねぇけど逃げようとしていた。


それに左右を見回してたたし見つかった!言ってたからきっと松本のことをか避けてるんだと思う。




昨日すげぇ仲良くしてたのに。


急になんで…




「全然大丈夫っ…!」


そう言ってあいつは自転車を立て直して自転車に乗ろうとする。





「いたっ…」







足怪我してんじゃん。



怪我してるからあいつは自転車に乗れない様子で。



「ばーか」




「ひゃっ!?何事!?」



俺は自分の自転車を止めてあいつをお姫様だっこっていうか知らねぇけどそんな感じのことをして俺の自転車の後ろに乗せた。




そして自転車を漕ぎだそうとする俺。



「…服にでも掴まれ」




「え。あー、うん!それよりあたしの自転車…「あとで俺が取りに行くよ」





そう言って自転車を漕ぎ出す。




松本ってやつはまあおんなじ学校だし友達思いなのかこいつを心配してるらしくついてきている。




ぎゅっ…



背中と腰に何かが触れてる気がするんだけど。




「ありがと」



それはあいつ。




あいつは俺に抱きついてる。



まじで可愛すぎるんだけど?


そんなに可愛いことされたら俺、理性が効かなくなんじゃん。


つか


「…てる」



当たってんだけど?


案外ねぇんだな。



ってお〜い、俺のばか


このドスケベ。




なに考えてんだよ。



「神崎なんか言った?」


「なんでもねぇ!」



「あのー…いい感じの時失礼しますが…。宇佐美さんと神崎くんって仲いいんだね」




俺達の横で自転車をこぐ松本がそう言う。



お前に言われたら嬉しくねぇよ。


って内心思うけど「まぁな?」ってドヤ顔してしまう俺。


すると、松本はとんでもねぇことを言う。



「俺とも仲良くしようよ」



はぁ?


なに言ってるの?



「却下」



嫌に決まってんじゃん。
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