離してなんかやるかよ。

「ただいまっ!!」


家に帰った途端、颯が慌てて飛び出して来てあたしの姿に驚いた。



「お前帰るの遅すぎ。ってずぶ濡れじゃん!傘持っててなかったっけ?」




あたしはさっき偶然会った見知らぬ青少年に傘をあげて濡れながら帰った。


だからびしょ濡れ。


それに文化祭の準備で残ってたから帰宅するのも遅くなっちゃった。




「持って行ったけど貸しちゃった」



とりあえず颯にえへへと笑って言うあたし。



そこへ神崎ママがやって来て「あら!」って驚いてすぐどこかへ消えてしまった。



と思ったら…


バスタオルを持ってきてくれて「これで拭いたらお風呂に入って温まるといいわ」と言ってまたどこかへ消えてしまった。


そしてあたしは神崎ママの言う通りタオルで水浸しになった服や濡れた顔とかを拭いて即お風呂に入った。



ー…


「昨日の蒼生の女装は永久保存版だよね」



「永久保存版って写真撮ったの?」


「うん!撮って待ち受けにしようかなぁって思ってる」


「待ち受けにしたらなんか願いが成就しそうだね」


「あー確かに。仏様みたいな」



時は経ち今は翌日の朝。

教室で昨日の松本くんのメイド服について翼と喋ってる。


「おーい静かにしろ」



すると先生が教室に入ってきてあたしはすかさず着席した。



「今日は転入生がきている。入れ」


え!?


文化祭の準備で忙しい今時に転入生!?



すごいタイミングで転入生も来ますな…。



転入生が扉を開く…


扉から入ってきたのは昨日の雨宿りしてた青少年ー…




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