離してなんかやるかよ。

え。


なにその態度?


そう思ってると颯はあたしの首襟から手を離してどこかへ消えてしまった。




…え。




うるさいって言いにあたしのとこ来て首襟掴んでお終い?



意地悪にも程がありませんか…。




「あらら~。颯ったらやいちゃって」



松本くんはあたしのお隣でニコニコ笑っている。



やくってなにをやいてるの?



さっきから松本くんが言ってることは理解不可能なことばかり。



「颯かわいい」



いやいや松本くん。


颯は可愛いっていうかどちらかというとかっこいいだよ?



あんまり女顔じゃないし…。


やっぱり松本くんの発言は理解不可能です。




そして松本くんはあたしから離れた。


あたしは暇になったので転入生の青少年の直谷くんと話すことにした。




「直谷くんどこから引っ越してきたの?」



「遠くから…」



遠くか。


アメリカとかかな?



アメリカはあたしの両親がいるところなんだよね。



だけど流石に遠すぎるか…



「海外じゃないよ」



青少年はそう言って俯いている。



あ、あたし声に出して言ってた!?



だから思ったことバレてるのか。


「うん…声に出てる」



あ、またもや!



あたし声に出してたぽいです。



直谷くんは昨日から思っていたけど予想通り人見知りであたしの両親がアメリカにいるって事でなんやかんや聞いてくれればいいんだけど何ひとつ質問がなくあたし達の会話は終わってしまった。



そして休憩時間もあっという間に終わった。

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