離してなんかやるかよ。

♡あいつの過去


【颯side】



文化祭の準備が終わり俺はあいつと帰ろうと荷物を持つ。




「あ、神崎くん帰るの?」



その時胡桃ってやつが俺に話しかけてきた。



まぁね。




「だけど柚來は?」




教室を見渡してもあいつの姿が見当たらない。



どこ行ったんだよ…。





「あぁ。柚來ならそこ」



だけど柚來は簡単に見つかった。




胡桃が窓の外を指差している。



指が示した先にはアイツと柚來がバカみたいに風船で遊んでる。



またアイツかよ…。



アイツってのは転入生の直谷。



今朝転入してから殆どずっと柚來と一緒にいるやつ。




すげぇシャイで容姿は茶髪だけど前髪が目長い少し地味な平凡なやつ。




柚來を好きになる前の俺ならアイツと柚來すげぇお似合いじゃんって思ってたと思うけど今はむかつく。



柚來にはアイツと仲良くしてやるよとは言ったもののやっぱり気に入らない。




「さっき柚來とあたしと蒼生と直谷くんで柚來がお父さんの知人の家に住んでるって話で盛り上がってたんだけど柚來逃げちゃってそれからそこにずっといるよ。まったく、実行委員なのになにやってるんだか…」



柚來は直谷と風船を落とさないように息を風船に吹いて遊んでる。




確かに実行委員が遊んでるってどうなんだ…。



この前も松本がメイドの服着て女装してたけど俺のクラスの実行委員は遊んでばっかだわ。




俺がそんなことを思ってると



「直谷くんはさっき行ったばっかりだよ。窓の外をたまたま見て柚來を見っけて行ったよ」



って言う胡桃。


ふーん。


柚來見つけて行ったとかすげぇ気にいってんだな、アイツ柚來のこと。





…見てらんねぇわ。


あいつらの絡み。




それで窓辺から離れようとしたら胡桃が



「そう言えば神崎くんは柚來のルームシェアのこと知ってる!?ルームシェアってドラマとかですごい楽しそうだし実際どんな感じなのか気になってるんだけど柚來教えてくれないんだよね」



そう言った。




知ってるもなにも俺あいつと住んでるんだけど。






< 183 / 373 >

この作品をシェア

pagetop