離してなんかやるかよ。

するとカウンターにいた男性が


「ライチソーダ、シューノン好きだよね。そう言えば神崎くんシューノン以前ここに来たこと…」



ストーップ!


来たこと…?



来たこと…?




「あるんですか!ないんですか!」




あたしは思わずカウンターの机を思いっきり手をバシッと叩いて言う。



直谷くんはフリーズ状態で翼と颯は「あらら」と声を揃って言っている。




松本くんはひとりダーツに無我夢中だからあたしが大声を発してカウンターの机バンって叩いたことには気づいてない。



だけど直谷くん今にも失神しそうな様子。



しまった!


ついついやらかしてしまったぁ〜。



この男性がこの前うちのカフェに来た天然パーマの黒髪の女子がラッパーの話してたら急に大声出して机叩いたんだよ。っていろんな人に噂してその噂が人から人に流れてる間に違う噂になって


店員がラッパーの話してたら大声出して机を壊したんだよになってあたしの顔面がTVに公表されて…


うわ、それはまずい!



「俺そんな噂好きじゃないですよ」



「お前なに言ってるの?どこの妄想バカなわけ?」



え!?


何事!?

いま颯に貶され店員の男性だと思われる人物に噂好きじゃないですよって言われた。




状況が把握できないんだけど。



「柚來…。声に出てたよ」




「え…」



翼マジですか、それは。


あたし完全にドン引きされる野郎だ…。



それに直谷くんにラッパー好きってバレた。



まずいこれは。


翼と颯はあたしがシューノン好きなのは知ってる。


知ってるけどよくないよくないよくない。


まずいよ、これはほんとに!




「ラッパーってなに…?シューノンってなに…?」



直谷くんはポカーンってしてる。



あ、よかった…。


ラッパーすら知らないなら安心した。



っていやまだ安心できないっ!



「柚來とりあえず落ち着いて」


「周りの迷惑になるから静かにしてくれる?」



翼と颯はあたしに言う。



安心はできないけどあたしはとりあえず座ることにした。


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