離してなんかやるかよ。

「さっき話してたあいつらと飛び出した男子は友達」



直谷はライバルだけど友達。



直谷は嫌なやつじゃない。




あいつが本気で好きだから涙目だったあいつを心配してカフェを飛び出した。



そしてきっと柚來を追いかけた―…





直谷はマジであいつを好きで心配してるからむかつくけど嫌なやつじゃない。




「ふーん。神崎くんは沢山の友達に囲まれて幸せそうだね」




先輩…。


柚來のこと俺まだ言ってねぇのに…。



それに俺は幸せじゃねぇよ。




好きなやつを守ってやれなくて…



好きなやつが泣いてる時にそばにいれなくて…。







俺は嫉妬ばっかりするし



付き合う前、あいつに何度かキスできたのに付き合ってからは手も繋げねぇしキスもできねぇ。




それに初デートの遊園地の後もデート1回もしてなくて未だにまともなデートはしてねぇ。






すげぇ情けなったって俺は自分の不甲斐なさや無力さに痛感する。




俺はあいつを幸せにしてんのかな?



幸せにできてんのかな―…




俺のもんだからとか俺以外のやつとあんまり仲良くするなよとか縛ってばっかりな俺と付き合ってあいつは幸せなのかな―…



俺はあいつを幸せにしてぇよ。



あいつを守りてぇよ。




「神崎くんごめん…」




急に先輩は食器洗いをやめて俺に言う。




なんだよ…。



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