離してなんかやるかよ。

〜♪


その時ベッドの上に置いてたスマホから着信音が鳴った。


この音は電話。



なんだよ…



誰だよ…



すげぇ電話するのめんどくせぇけどベッドの上にあるスマホを手に取り一応電話に出た。




『もしもし!?あ、神崎くん?』



直谷―…?


なんで直谷が俺の携帯番号知ってんの?



『胡桃さんから聞いたよ、具合悪くて帰ったんだよね。具合悪いのに急にごめんね、電話して!あ、電話番号は松本くんから聞いたんだけどね…。えっとその…』




直谷はそう言うけど言葉を濁す。



なんだよ松本も胡桃も、余計なこと言って。




それになに?



『何か言いたいんだろ?言えよ』




『俺のかわりに宇佐美さんを幸せにしてくれないかな―…?』




え…?



こいつ柚來抱きしめてたし柚來と直谷と付き合ったりすんのかと思ったのに今こいつ…



俺のかわりに…宇佐美さんを幸せにしてくれないかな?って言ったよね?



まじかよ…



ひょっとしたら直谷柚來に振られたの?



俺は柚來を傷つけたり守れなかったりしたし


すげぇ避けてきたけど


柚來がやっぱり好き。



だけど好きな人を守れなかったり避けたりした情けねぇ俺が柚來を幸せにしていいの?


『宇佐美さんを幸せにしてくださいっ!』



だけど直谷はこんなに直谷って大きな声出せるのかよってぐらい大きな声でそう言った。




こいつがこんなに…


大きな声で俺に伝えてるってことは…



すげぇ大事なことだよな。



俺は直谷よりかなり頼りねぇけど



柚來を守れるか不安だけど



今度こそ柚來を幸せにしたい。


『当たり前じゃん。それに俺以外のやつに柚來を幸せにされたくねぇよ、あいつは俺が幸せにする』



絶対あいつを幸せにする。




『頼むよ!絶対幸せにしてよね!じゃあ神崎くんお大事にっ!』



そう直谷は言って電話を切った―…



ツーツーという電話の切れた音がスマホから聞こえる。



いやお大事にって言われたけど俺、もう具合悪くねぇよ。



柚來を守るって決めたから―…



今からでも柚來を守るって決めたから―…



今後悔もしてねぇし不安感もねぇよ。




そう思いながら俺はベッドの上に寝転がった―…



その時…


俺の部屋の扉が開いて…




「颯…!」



大好きなあいつの柚來の声が聞こえた。



柚來が乱れた息で俺の部屋に入って俺を呼んだ―…

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