離してなんかやるかよ。

柚來、避けて傷つけて泣かしてわりぃ。


ほんと反省してる。





「…いだっ!!」



俺が改まってるとキッチンから柚來の叫び声が聞こえた。



どうした?


あいつなんかやらかしたのかよ?



俺は柚來が心配になってキッチンに行く。





するとあいつは…


「あ、颯っ!わかめ切ろうとしたら指怪我したっ!」



俺に気付いたのか振り向いてそう言って笑ってる。



わかめ切るって行動が理解不可能なんだけど。



いや生ワカメとかをカットするのならわかるけど俺の家にあるのはもともとカットされてるわかめでましてや乾燥してるわかめなんだけど。



「なにお前バカなの?」



俺はキッチンに立つあいつの目の前に行ってあいつの手首を握った。



確かにあいつの指には切り傷ができてた。


そしてあいつの真後ろにあるキッチン台の上には元々カットされてる乾燥わかめがあった。




「…あれ、颯。怒ってる?あたしなんか間違えたことした?それともわかめ勝手に使ったらまずかった?」




柚來はそう言ってあ然としている。



しかも上目遣いなんだけど。



なにまさかそそってんの?


やばい、なにこいつまじで可愛すぎる…。



って今は!


柚來の傷の手当てだろ!


理性保て俺。



俺はあいつの傷の手当てをする為あいつの手首を握ったままリビングにある棚から絆創膏をとって…



「ジッとしとけよ」



あいつの手首から俺は手を離して絆創膏をあいつの指に貼った。


「にしても乾燥わかめ切るとかお前バカ過ぎ」



「バカじゃないもん!バカっていうならバカの意味調べてからあたしに言って!」





久々にこいつ俺に反抗してきたんだけど。


まぁすげぇ生意気だなぁと思う半面嬉しい。



あ、別にMってわけじゃねぇんだけど柚來とこうやってじゃれ合うのって柚來と初めて会った日以降あんまりなかったから嬉しいし楽しい。




「でもっ…ありがとう!手当てありがとう!」




キュン…

俺はときめきを感じる。



ありがとうってしかもまた上目遣い使って言うとか


柚來、俺が避けてた間にすげぇ可愛くなってんだけど。





「いや別に。ありがとうって言われるほど大したことしてねぇし。つかお前俺そそってんの?」


ありがとうって言われる様な俺は人間じゃない。



俺が柚來を避けた罪はまだ償えてないから。


俺がそんなことを思ってると柚來は


「そそるってなに?そそぐじゃなくて?」



そう言った。



なにその天然ぽいリアクション。



ってこいつ天然だったか。



「やっぱりバカだわ、お前」


「だからバカって言うならバカの意味調べて!あたしバカじゃないもんっ!というか颯、人をバカバカ侮辱してるし普通に元気じゃん。ホントは仮病なんじゃないの?」



「あ、バレた?バカでも気付くんだな」



まあ今は元気だけどさっきまですげぇ具合悪かったよ。


それに仮病って柚來が勝手に風邪って思ってそれでお粥作り出したんだろ。



だけど俺は仮病ってことにした。


柚來に直谷がハグしてたところ見て


不安とか後悔とかで胸の奥がもやもやして具合悪くなったとか言えねぇし。


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