離してなんかやるかよ。
「馬鹿っ!期待なんかしてない」
「バカって…お前さ」
颯はあたしの頬を片手で摘む。
そして顔がまたもや近寄ってます!
「俺糸くず取ってあげたんだよ?なのにバカって他に言うことあるよね?」
颯はそう言うけど(ダジャレになってることも気にしないけど)
あたし颯が頬掴んでるから喋れないんですよ。
なんですか、ありがとうって言われたいんですか。
「…あんがど」
「は?なに言ってるの?」
あんがとってありがとうの原形まだあると思うけどまだ文字2文字あってますけど。
なので言ってることわからないことないと思いますけど。
なのにわからないんですか。
ひょっとしたら颯、耳が悪いんじゃないの?
そう思っていたら…
「なんつったの?」
手離されて額に額くっつけられました。
ねぇなんでそんなに近づくの。
鼓動が鳴り止まないから。
ドキドキ感半端ないから。
「…ありがとうって言ったんだよ」
恥ずかしくて颯が近すぎて顔が自分でもわかるぐらい火照る。
顔が熱いよ―…
「お前、熱あんの?」
「ないよ!全然元気だからっ!」
颯との距離が尋常じゃないぐらい近いから
心臓が異様にドキドキしてて
異様に顔が熱いけど。
とりあえず近い!離れて!
あたしは颯を額で思いっきり押してやった。
「…いてぇ」
突き飛ばされた颯は額を押さえてる。
あ…。
勢いよく突き飛ばしたけどまずかったかな?
「…ごめんっ」
颯に近寄るあたし。
「許せねぇ…」
え?
だけど颯は許してくれません。
どうしよっ!
本気で怒ちゃった?
そう思っていたら体が宙にふわっと浮いた。
え…。
あたし…。
あたしは颯によるお姫様だっこで体が宙に浮いていた。
「ちょっ!何するの!?」
だけど颯はスルー。
無視するって本気で怒ってるよね!?
お願いします、降ろしてください。
お願いします、突き飛ばしたこと許してください。
あたしお姫様だっこされたけど…このままバルコニーから落とされてしまうのかな?
それとも部屋にあたしを置いて部屋に閉じ込めるのかな?
「…お願いだから降ろして!」
死にたくないっ!
監禁されるのも嫌だ!