離してなんかやるかよ。


そして颯はあたしから離れた。


ようやくあたしの気持ちが伝わった。



「…わりぃ」


颯は頭を手で押さえて少しだけ顔が見えないけど颯の表情は―…



動揺してる感じだった。



戸惑っていた。



顔がほんのり赤くて動揺してる顔だった。



なんで動揺してるの?


なんで顔が赤いの?




颯は…いま何考えてるの?



そして颯はあたしの部屋を出た―…




部屋は颯が出た後。



静寂で



チョコレートと生クリームの香りが



広がっていた―…




颯は一体何を考えてたんだろう。



颯のほんのり赤くて戸惑った顔は…


後悔と照れなんじゃないかな―…



なんて自惚れてるよね。



でも颯はプレイボーイじゃない。



って思えた―…



颯は…あたしに好きって想い1ミリでもあるかもしれない。



颯のあたしへの離してやれないわって言葉は少しだけ嘘じゃないって思えた―…


あたし少しだけ期待してもいいよね?



明日颯へ告白するけれど、少しだけ颯と付き合える気がしたんだ―…





そしてそれから颯とは何にもなくて


あたしは夜中トリュフを作った―…



作り方はオムライスの作り方も載ってる料理本に書いてたからそれを見ながら作った。







時はあっという間に経ち…




「今日告白大会だね!柚來頑張ってね!」



文化祭2日目です。



そして今日は告白大会の日です。



あたしは翼に応援され告白大会会場の体育館へ行こうとするんだけど…




「告白大会ってエントリーしなくて大丈夫なの?」



松本くんの登場です。



エントリー!?



エントリーしないと告白大会に出れないの?



「俺も、し…っていやいやいやエントリーしなくて大丈夫かぁ」



松本くんはなんだか挙動不審。


だけどエントリーしなくて大丈夫なら、一安心だね。



じゃあ体育館に行こうかな…。




「宇佐美さん!」



「今度は誰だよ!」


告白する勇気せっかくあるのに


勇気だして告白しようと体育館向かってるのにそんな話しかけられて引き止められたら勇気なくなって萎えるじゃん!




そう思って声の主の方を振り向くと―…



直谷くん。



「あ、ごめん…」


「いいよ。それに昨日俺こそごめんね?」


昨日―…


そうだ。



あたし昨日直谷くんに告白されたんだ。

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