離してなんかやるかよ。
「白雪姫の子と颯はまだ相思相愛だと思うなぁ〜」
「「「激しく同意」」」
そして女に直谷、胡桃、先輩は同意した。
なに同意してるんだよ?
なんで相思相愛って思うんだよ?
俺は柚來に好かれる様なやつじゃない。
好かれる様なかっこいい男じゃないよ。
柚來を泣かせたし柚來を避けたし最低なやつ。
だから相思相愛なんて有り得ねぇ。
そう思っていたら…告白大会は始まって直谷の言う通りうさぎのコスプレした人が出て
そして柚來がステージから出てきたんだ。
…柚來?
柚來は俺の名前を呼んで俺じゃないとダメって言って
夢なんじゃねぇかって思った。
だけどあいつは泣きながら俺への想いを叫び続けるから
柚來の想いを本気って思った。
あいつの気持ちを信じて俺もあいつに好きって言わねぇとって思った。
そしたら柚來が倒れたんだ―…
*
*
*
「…颯?」
柚來が目を覚ました。
俺のキスで目が覚めた。
「柚來が好き。本気で好き、ぜってえ離してなんかやるかよ…」
俺は再び生クリームの香りがする君にキスをした。
王子様のコスプレをする俺。
白雪姫と呼ばれる君に、キスをして
白雪姫は目を覚ました―…
「あたしも颯が好き」
俺はお前のそばから絶対離れねぇから。
もう泣かしたりしねぇから。
こんな俺をこれからもよろしくお願いします。
「夢見たの。夢の中で黒い穴に颯が落ちてて颯があたしを呼んでた。それであたし颯にチョコレートを投げたの、そしたら颯はあたしに手を差し伸べてあたしは颯の手をひいてチョコレートをあげたの。あーそうだ、紙袋の中にチョコレートッ…」
あ、柚來っ!
柚來は再び目を閉じた。
グースカピーって寝息をたててる。
そう言えば随分前に…
黒い穴に落ちた夢を見た気がする。
その夢の続きを柚來は見たんだな。
すげぇな…。
俺達赤い糸で繋がってるみたいだな。
『えーっと続いきましてNo.10 2年松本蒼生!』
そしてMCが松本を呼んで
「俺も幸せになってくるわ」
「頑張れよ」
俺と松本は言葉を交わした。
俺は寝た柚來をそのままステージ裏にある出口から体育館を出て保健室と運んだ―…
体育館出たとき、松本が「よっしゃあ〜!」って叫んでいたのが聞こえた。
きっと胡桃も松本に好きって言ったんだろうな…。
お二人もお幸せに…。
保健室は誰もいなくてドアは開いてた。
すげぇ不用心だなぁ…って思ったけど俺は保健室のベッドに柚來を寝かせる。
柚來が持っていた紙袋はベッドの傍らに置いた。
そう言えば柚來、紙袋の中にチョコレートって言ってなかった?
俺は紙袋を開く。
するとそこには小さな箱が入って箱を開けるとトリュフが入っていた。
生クリームとチョコレートの混ざった匂い―…
すげぇいい香り。
柚來まさか夜これ作ってて全然寝れなかったのかな?
それで今寝てんのかなぁ。
そうとするとすげぇ嬉しいんだけど。
寝る時間削ってまでチョコレート作りって…ばかじゃねぇの?
俺、お前のことすげぇ可愛いって思ってしまうんだけど。
指にすげぇ絆創膏貼ってあるし相当頑張ったんだなぁ…。
俺はトリュフを1つ食ってみようとする…