離してなんかやるかよ。
「…シューノンっ!!」
すると柚來が目覚めて体を起こした。
あ、おはよう。
それにシューノンって夢にシューノン出てたんだ?
「あ、夢か…若干ショックってここは何処だ」
柚來は首を上下左右に向けて周りを見渡す。
「なっ!ななななんで颯が!?」
そして俺を見た途端、驚いてベッドに座ったまま後ろに後ずさる。
すげぇリアクション…、相変わらず面白いわ。
そう思って笑ってると柚來は俺が持ってたチョコレートを見て全てを思い出した。
「あ、チョ…チョコ食べた!?」
「いやまだ」
食ってねぇよ。
すると柚來は「そうなんだ…」と少しショボくれた顔をした。
なに早く食ってほしいわけ?
「じゃあ口移ししてよ」
「……は、ははははひふえほ!」
まみむめも。
ってそうじゃなくて今のはなんだ。
なんだ、今の反応は。
過去最高に面白いリアクションなんだけど。
俺は笑いのツボにハマってしまった。
「…なんで笑うの!というかくくくちう…「つし嫌なわけ?」
俺はベッドに座る柚來の隣に座る。
柚來はすげぇ顔を赤くして俯いた。
「別に恥ずかしいだけ。でもくくくち移しは難易度高いよ…、あーんならまだいける気が…」
なに、この可愛い生物。
すげぇ素直で積極的なんですけど?
こいつさ…。
「お前さ…。今俺のことそそってんだろ?」
「…え、そそるって食欲?お腹減った?じゃあ尚更チョコレート食べてほしい!」
あーマジでこいつ天然すぎ。
こんな天然なやつ俺、はじめて会ったわ。
「じゃあ食わして。言っとくけどお前に拒否権ないから」
「は?何様…?あ、俺様か!」
なっ…
俺様っつった?
ムカつく…
超天然柚來のくせに俺に俺様ってバカにするとか生意気。
俺は柚來のトリュフを一口。
「…自分で食べれるんじゃん。まあ赤ちゃんでもないし食べるか」
「…馬鹿すぎ」
まだ飲み込んでねぇよ。
赤ちゃんと俺を比較して俺を俺様って言ったから
「…んん」
罰ゲーム。
俺がお前に口移しってやつしてやるよ。
柚來の唇強引に開けて俺は柚來の口内に…トリュフを移した。
柚來からは生クリームの香りがして
俺はチョコレートの香り。
生クリームとチョコレートが混合したらトリュフができる。
「なんか共食いしてるみたいでエロい。しかも学び舎であたし達不謹慎…」
口移しが終わった柚來は耳も顔も真っ赤だった。
確かに学び舎で不謹慎だよな。
「…恥ずかしいっ」
…柚來は俺に抱きついてきた。
恥ずかしいとか抱き着くとかすげぇ積極的…。
だけど柚來を俺は傷づけて避けて柚來はすごい辛くて寂しかったんだと思う。
俺もお前が直谷に好かれて正直辛くて胸の奥がモヤモヤして胸が苦しかった。
俺は柚來の背中に手を回した。
柚來の心拍が波打ってる音が聞こえて
柚來の温もりを感じた。
「にしてもチョコレート案外苦かった…。甘いと思ってたのに…」
「確かに」
そして俺達は残りのトリュフを食べた。
なんか食ったら眠くなってきたわ…。
「あ、そう言えば手紙―…」
柚來が何かを言っていたけど俺には聞こえなくて…
「父さん…」
俺は寝言でそう呟いてたことも知らず幸せそうだけど何故か涙を流して寝てたんだ―…
そして柚來の紙袋の中に入ってた手紙は
『好きです』
たった4文字だけど想いが募ったメッセージ。