離してなんかやるかよ。
「NYとか楽しみ!早く行きたいわ」
放課後。
帰途につきながらあたしは翼と松本くんと直谷くんと話していた。
あたしはこくんと首を縦に降った。
「柚來元気ないよ?神崎が心配なの?」
翼はあたしの親友だからあたしの事をホントによくわかってる。
あたしもあたしのことを把握してる翼みたいに颯のことを把握したい。
「あたしの知らない颯が沢山いる」
「神崎が沢山いたら気持ち悪い」
「…うん。そうだけどあたし全然颯のこと知らない、知りたい」
「知りたいんなら聞けば?聞かないとわかんないよ、あたし達はテレパシー使えるわけじゃないんだし」
「うん…」
聞かないといけないことはわかってる。
だけど颯が過去のことを容易に教えてくれるって思えない。
相当寂しいと思う、傷ついてると思う。
無理に教えてもらおうとは思わない。
「じゃあね」
あたしはマンションに到着して、直谷くんと翼は松本くんのお家に入って…
あたしは我が家である神崎宅に戻った。
靴が2つある!
そして家の廊下を歩くと颯の部屋のドアが開いてて颯が三希とヤってる最中。
そ、颯…!?
やっぱり颯はあたしなんか…
同じ境遇の三希がやっぱりいい…
…わけないか!
今のはあたしの妄想に過ぎないんだけど現実では颯があたしの部屋の前の部屋にいた。
ドアが開いてて…
まさかヤって…?
なんてあるわけないよね!
「…颯?」
颯はぼう然と写真を握っていた。
楽しそうな家族の写真―…
颯のお母さんが映ってて、
もう二人は幼い頃の颯と颯のお父さん―…?
颯の横顔はすごく切なそうで
さっきと同じくらい寂しそうだった。
部屋はお父さんの部屋―…?
よく分からない資料が多々と置いてあった。
「ゆ、柚來…!?」
あたしに気付いた颯。
あ、勝手に部屋見ちゃった…。
覗こうなんて思ったつもりなかったんだけど…。
ごめんなさいっ!