離してなんかやるかよ。

ガシッ…


突如手首を掴まれたあたし。



颯…起きてる!?


怒ってる…!?


『お前なに勝手に人の頭触ってんだよ。俺の頭汚れるんだけど?』




って言われるかもしれない。




ごめんなさい…



あたしは颯が余りにも切なそうだったから…つい。




手を颯の頭から離そうとするあたし。


「もーちょっとそれでいて。撫でてて」



へ…!?



なにこれ、颯じゃない。



撫でててって颯が甘えてきた。



こんなの颯じゃない。



明日絶対やり降る!



「…うん」



あたしはとりあえず颯の頭を撫でた。



颯…今何考えてるの?



お父さんのこと?



颯のお父さんは今どこにいるの?



なにをしてるの?



教えて―…。




「柚來ちゃんと颯~。ご飯できたよ〜!」




そう言えばまだ夜ご飯まだだな。



なんか寝たらお腹すいたよ。


神崎ママがあたしの部屋の外で言っている。


あたしは颯の頭から手を離した。



「さんきゅ」



颯は頭をあげてあたしに笑った。



若干颯が元気になった。



颯の笑顔がホンモノの笑顔に近づいてる。




「うん!…っていうか颯こそなんでここに?」



「帰ってきたら保健室の先生がお前の両足持って胡桃がお前の両手持ってお前の部屋を母さんが開けてて何事かと思って聞いたらお前が酒飲んで倒れたって言うから。母さんにそばにいてあげてと頼まれて今に至る感じかな」



…そうなんだ。



あたし寝る前の記憶は全然ないよ。



だけど翼来てたんだ。



しかも保健室の先生まで。



「翼と先生帰った?」


「あぁ」



そしてそんなこんなあたし達はご飯を済ませた。



颯が甘えるとか珍しくて


夢の中でお父さんを叫んでたのは



颯なのかなぁ?



颯のお父さんは一体どんな人なんだろう?



たくさん疑問があった。



そして颯の辛い気持ちを徐々に安らげたいと思った―…


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