離してなんかやるかよ。

だけどっ!!


寝るな、あたし!!


風呂で溺れたりしないでねって忠告されたばっかりでしょ!!


寝て溺れたらどうするの~!!



「…いてっ」



「ぎゃっ!誰っ!?」



今誰かの声が聞こえた。



後ろから……まさかユーレイ!?



え、まさかここの温泉オカルト現象起きるの?


なんか……面白そう!



そう思って声がした方に行くあたし。



「ユーレイさんどこにいますかぁ…。出てきてくれませんかぁ…」




…その時、濡れた潤った黒髪があたしの視界に飛び込んだ。



ん、この髪は…………



「ユーレイさんじゃない。そ、そ…」




颯じゃん!


なんでいるの~っ!?



あたしは颯に近寄る……。



颯、転けてるし…だらしないっ。



まさか覗き見しようとして…罰でもくらったのかな?



…このヘンタイッ!!


あたしはそう思いながらもなんやかんや転けた颯が心配で近寄ったけど…



つるんっ!


床すごい滑るんですけど~っ!



氷の上みたいに滑るんですけど!


「いたぁ~っ…」


あたしも転けてしまった。



「あ、柚來…」



んっ…、颯?



あたしの目の前には颯の顔がある。


あたしは颯の手に自分の手を乗せてて


さっきの部屋とは違ってあたし達は一緒のところへ倒れてない。



颯とあたしは真っ直ぐお互いに違う場所で倒れてる。



「颯っ…」


あたしは体をあげる。


とりあえず起き上がろう…。



「お前……」


ん?


すると颯の顔が真っ赤になってて…


え、なんでそんな真っ赤なの?


どうしたの?


まさかテレてるの?


颯ってピュアだった…?



なんか可愛い~!


「お前見えてる…」



え…?


何が…?


なにが見えてるの?


ユーレイ?


そう思ったけれど颯は…


「ないと思ったけど案外…」


顔を横に背けてそう言ってる…。


そしてあたしの…


「ぎゃあ~!!ヘンタイっ!」


胸を指さしながら…。


「今すぐ風呂で溺れろ。ユーレイにでもなんにでも呪われちまえばいいっ!」



バスタオルは巻いてたけどすこしずれてたぽくて。


可愛いなんて思ったけど撤回!
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