離してなんかやるかよ。

「…」


そしてあたしは露天風呂にまた浸かった。


この露天風呂は混浴らしい。



だからさっきの看板にハートのマークが記されてあったんだと思う。



しかし颯とあたしは混浴だけどラブラブやらない。


目をハートにして


いちゃついたりなんかしない。



さっきからずっと颯もお風呂に入ってるけどあたし達は黙然としてる。




「なぁ…」


「はぁ?ばかばかばかばかばかばかっ!」




話しかけないでください。


颯となんか話したくない。


「…」


だけど颯はあたしに近寄って


手を握る。



触らないでよ。


汚れるっ…。



虫酸が走る…。



颯なんかキライ。



大キライっ…だ、ばか。



「お前さっきさ。俺にキスしようとしたんだろ?」



「…なんの話」



部屋での話ってわかってるけど…。


「もっかいしてみたら…?いけるかもしんないよ」



「却下」



全力で断る。



ぜったいしたくないっ…。


「欲求不満なんじゃねぇの?」



ふざけんな。


今すぐユーレイに呪われろ。



「そんなにあたしを怒らせたいの?あんたはドMか」



「別に…。別に俺はそんな焦らなくていいと思うけど」



なにそれ…。


なんの話…。



「…お前のことマジで大事にしたいって思ったんだよね。だから」



だからまだ焦ってキスとかやんなくてもいいよ。



俺待つから。



って言いたいわけ?



まじで颯はバカだ。




「バカ…」



あたしは颯にほっぺに思いっきりキスした。



颯はバカ過ぎる。



「…あたし別に焦ってないから」



「ゆ、柚來ちゃん…」



「ばか。ちゃん付けやめろ。ユーレイに呪われないかわりに胸見られたことはあたしが一生恨んでやる」



あたしは露天風呂の前の方に行って



颯から離れた。



恥ずかしい…


顔見られたくないっ…



いまギネス載るぐらい顔赤い☜は


とにかく異様に真っ赤なんだ、耳も顔も。



心臓もドキドキして…



『恋に溺れないようにね』




溺れちゃったよ。




颯のせいで…



颯のせいで…



チョコレートみたいに甘い恋に溺れちゃったよ―…


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