離してなんかやるかよ。

「あ、白雪姫ちゃんじゃん」

近くから知ってる声が聞こえた。


松本くん……。

「エロいね、その格好……って泣いてるじゃん。どうした?颯呼ぼうか」


無自覚だったけどあたし泣いてたんだ。


「大丈夫…っ」

呼ばないで。


大丈夫だから、あたしが颯に告白したから三希ちゃんが今辛い思いしてるんだ。


あたしが颯に告白しなかったら三希ちゃんは傷つかなかったと思う。


「……颯のこと諦めるなんて無理よ!」


目の前のドアが突然開いて三希ちゃんが出てきた。


三希ちゃんは泣いてて…


「翼大丈夫?」


松本くんは翼を心配してて翼の部屋にいたクラスメイトの女の子はポカーンとしていた。




……三希ちゃんはあたしが颯に告白したから泣いてるんだ。


「三希ちゃんっ!」


あたしは三希ちゃんを追いかけた。


あたしのせいでごめんね。


あたしも颯に告白してフラレたら諦めれたのかなぁ?


颯が仮に三希ちゃんと結ばれたらあたしは……


今の三希ちゃんとおんなじ気持ちだったのかなぁ…?


三希ちゃんはホテルを出て外へネオン街を走って行く。


それを追うあたしだけど途中で見失った。


どこ行ったの……


そう思ってたけれどすぐに見つかって……

「すげー顔。いっつもキレてんのに、まあ泣きたい時は泣けよ」


「ばかじゃないの…?アンタにそんな事言われなくてもわかってるっての…」



何故か直谷くんがネオン街にいて…


三希ちゃんは涙流してるけど


つらいはずなのに少し笑顔だった。



「俺たちフラれたもん同士付き合ってみるのもいいよな」


「却下……っ。アンタだけは絶対お断り」


「俺もだわ」



なんやかんや2人は仲良くて


笑いあってて三希ちゃんの涙は


何処かに消えて行ってた。



過去の傷はなかなか癒えない、けど三希ちゃんも直谷くんも颯も少しずつ


過去を受け止めて前に進んでる。



……あたしのせいでっ


三希ちゃんが辛い思いしてたけれど


あたしは三希ちゃんを傷つけて颯と別れようなんて更々思わない。


そんなの三希ちゃんに悪いからそれにあたしも颯とは別れたくない。

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