離してなんかやるかよ。

「…っ!お前」


外に出たら直谷と一緒にいた鳳が現れた。


鳳は柚來に何かしたくせに、なんで今直谷と笑ってんの?


「お前、柚來に何してくれたわけ?」


「別に。柚來ちゃんがあたしのすきな人のすきな人だったからずるいなって思っただけよ、奪ってやろうと思ったけどやめたわ」


……は?


「……あたし何時か颯よりも柚來ちゃんよりも幸せになるから。あんたが羨ましいって言うぐらい幸せなカップルになるんだから」


「颯くんなにとぼけた顔してんの?いい加減気づきなよ」


「……もういいのっ。ありがと」


え……直谷いい加減気づけよって……


鳳まだ俺のこと好きだったんだ、本気で好きだったんだ。


「君がありがとうって今から竜巻来そう」


「……うるさい。というか颯、頑張ってね。じゃあまたね」


本気で好きだったんだ、気持ちは嬉しいけど。

俺は柚來が好きだから―…

わりぃな。


「そう言えばぁ……さっき柚來ちゃんに似た女の子がいたよ?だけど気のせいだったかも」


……マジで?


「どこ?」


「あぁ、多分あのブタの店の前だね」


ブタって言えば昼間のあの店―…。

俺は即その場所へ向かった。



鳳が俺のこと本気で好きだったのを柚來は知って自分は邪魔者だと思ったんだろうな。


アイツのことだから颯と出会わなかったら2人は結ばれてたとか思ったんだろうな―…

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