離してなんかやるかよ。
柚來はなんだか物足りなそうな顔をしている。
まだデートしたいんだ?
「……きついね」
だけど俺の自惚れだった。
柚來は電車が人混みであるためキツイって言ってる。
確かに柚來は周りの人に押しつぶされそうで
「…」
俺は柚來と場所を変わり柚來を電車の端に寄せた。
そして柚來の顔の横に手をつけた。
「車内で壁ドンっ…!…じゃなくてありがとう」
「なに言ってんの?俺はただお前が他のやつに触られそうだったから」
他のやつに押しつぶされそうだったから。
柚來だってどーせ押しつぶされそうになるなら俺がいいだろ。
「…なっ!」
―グラッ
電車が揺れて柚來の鼻が俺のお腹にあたる。
「いたっ~」
ニコニコ笑ってるし。
「俺の服にでも掴まっとけ」
ったく、嬉しいんじゃん。
痛いとか言ってるくせに。
*
*
*
電車はすぐに着いて俺達は電車を降りた。
「帰りスーパー寄ってく?」
「うん…」
電車を降りるとまた柚來は切なそうな名残惜しそうな形相をする。
「やっぱショッピングモールのスーパーでいい?」
ここから近いし
こいつ切なそうだから―…