離してなんかやるかよ。

柚來はなんだか物足りなそうな顔をしている。


まだデートしたいんだ?



「……きついね」



だけど俺の自惚れだった。


柚來は電車が人混みであるためキツイって言ってる。


確かに柚來は周りの人に押しつぶされそうで



「…」



俺は柚來と場所を変わり柚來を電車の端に寄せた。



そして柚來の顔の横に手をつけた。




「車内で壁ドンっ…!…じゃなくてありがとう」


「なに言ってんの?俺はただお前が他のやつに触られそうだったから」


他のやつに押しつぶされそうだったから。


柚來だってどーせ押しつぶされそうになるなら俺がいいだろ。


「…なっ!」



―グラッ


電車が揺れて柚來の鼻が俺のお腹にあたる。


「いたっ~」


ニコニコ笑ってるし。


「俺の服にでも掴まっとけ」


ったく、嬉しいんじゃん。


痛いとか言ってるくせに。









電車はすぐに着いて俺達は電車を降りた。



「帰りスーパー寄ってく?」


「うん…」



電車を降りるとまた柚來は切なそうな名残惜しそうな形相をする。



「やっぱショッピングモールのスーパーでいい?」



ここから近いし


こいつ切なそうだから―…


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