離してなんかやるかよ。
ふわっとチョコレートの甘い香りがして
俺は懐かしいな~って思う。
柚來と出会った日。
柚來が俺の家に同居始めた日。
音楽室の掃除も
遊園地に行った日も
直谷が転入してきた日も
こいつと離れそうになった時も
文化祭も
修学旅行も
柚來が倒れた日のことも
懐かしくて大切な日々。
*
*
*
「で、なに?」
ショッピングモールを出て家まで歩く。
「プレゼントってなに?」
柚來は俺がまだプレゼントをあげてないことに苛立ちを隠せない様子。
「帰ったらあげるからさ。さっさと帰ろうぜ」
「今!今にして!」
「うっせぇな」
そう思った次の瞬間、
ふわふわな白い粉が空から降ってきた。
「雪だ…」
空を見上げながらつぶやく柚來。
俺は空を見上げる柚來の後ろに回りこっそりサプライズ。
「へっ!?なになに?」
サプライズしようと思ったけど雪に夢中になる柚來はいなくて暴れる。
「動くんじゃねぇよ」
「はぁ?」
「動いたらその口塞ぐよ」
「……」
そして俺は柚來の首についてるネックレスを外して
「ん、もういいよ」
「え。結局…なんだったの?」
こいつまじで馬鹿すぎる。
ネックレス外して新しいのつけてやったのに。