離してなんかやるかよ。

「おっせーよ」


神崎の家を出てマンションの駐輪場に行くと学校に先に行ったはずの神崎がいた。


なんで!?

先に行ったんじゃないの!?


てかおっせーよってなんですか。


「まさか待ってたんですか」


「別に」


じゃあ遅いとか言わないでくださいよ。


「チョコレートジャム大量のパン食べるの大変だったんだからね」


食べるの時間がかかったんだよ!


硬かったけどチョコレートジャム美味しかったから食パン味わって食べてさ!


時間がかかったんだよ!


「あーそう」


って、なんだ。

その薄いリアクションは!


「というか神崎のお母さんって仕事早いんだね」


まだ8時頃なのに。


あたしが起きた時家にいなかった。


「普通じゃない?つかお前そんなヘアスタイルで行くのかよ?」



えっ!?


普通なんだ。


そうなんだ、最近の社会人は出勤するの随分早いんだね。


大人も大変なんだね。



それにそんなヘアスタイルってなんだ!



あたしをナメてるだろ。




ムキッってあたしが顔をこわばらせると…


「いや、すげぇ面白いヘアスタイルなんだよ。貶してるわけじゃねぇから」




え、褒め言葉なの!?


いやいやいやまさか。



生意気なチャラ男があたしを褒めるはずもない。


貶してないとか言ってるのは紛れもなく嘘に決まっている。


それかチャラ男による挨拶みたいなもんだ。


チャラ男はかわいいが挨拶だと聞いたことがあるから多分面白いとかそういう褒め言葉ぽいのは全て挨拶みたいなもんだよ。




とにかく相当髪型やばいんだ。



< 56 / 373 >

この作品をシェア

pagetop