離してなんかやるかよ。

「じゃあ手離してくれる?」


ゴキブリ倒さなきゃいけねぇんだろ?



「え…」



あいつは手を見つめる。




なに?


「離したくないなら別にいいんだけど?「ええっ!?」



俺はちょっといじってみる。



するとあいつは驚いてまた瞬きを繰り返す。


そして驚きながらも俺から手を離した。




「ごめん。気づかなかった…」


顔を赤くしながら


少し驚いてるあいつ。



照れてるのはかわいいんだけどさ


ちょっと手が離れたのが名残惜しい。



そして俺は新聞紙でゴキブリを捕まえて窓から外に逃がした。


「え?逃がしたの?」


俺はそう言うあいつに「まぁ一応生き物だし長生きさしたかったから」と言う。


あいつにきれい事言ってかっこいいとこ見られたかったとかじゃなくて本当にそう思った。


「そうなんだ…意外と優しいんだね、神崎」



意外とってなに?


俺のことそんなに、意地悪って思ってたんだ?


まあいじってるから意地悪って思われても仕方ねぇけど優しいってほめてくれてサンキュー。



そしてその時ちょうどホラー映画が幕を閉じた様でエンディングが流れ始めた。



〜♪


俺達は映画のエンドロールを見ながらシューノンの曲を聞きながら


「にしても随分長風呂だったけど大丈夫?」


「あー、平気」



他愛もない話をする。


風呂結構長時間入ったけどほんとに割りと大丈夫だった。



しんどくなかった。


「ぎゃあああっ」



その時エンドロール後、またさっきの目がないおじいさんが出てきた。



そんで母さんが勿論のことやら叫んでてた。


え…


「俺やっぱり大丈夫じゃねぇ」


怖すぎる!

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