離してなんかやるかよ。
「なにしてんの?」
「ぎゃああっっ!なになに?誰!?」
誰かが教室に突如入ってきてあたしに声をかける。
もうあたしにとって最高に幸せだと言う時に!
誰よ、邪魔したのは。
教室に入ってきた人はこの学校の制服を着てて間違いなくこの学校の生徒で男子。
巷で言う“シャツ出し”をしてピアスは右に2つ左に3つ。
キャップのつばが後ろに向くようにかぶってて完全なるチャラ男って感じです。
だけど黒髪で嫌味ってぐらい顔がきれい。
そんな男子はあたしの方へ来ました。
おい、まさかその顔とあたしの顔交換してくれるの?
それでこっちへ来てるの?
それなら是非〜っ!!
そう思ってたらあたしのヘッドホン奪われました。
「あ、この曲知ってる」
そしてあたしのヘッドホンをつけてラップを聴いちゃってます。
ってこの曲知ってるの?
ほんとに!?
「あーやっぱ知らなかった」
え!?
知らなかったの?
若干残念。
知ってたらこの曲について語りたかったな。
相手はチャラ男だけどそこは気にしない。
この曲好きなもの同士だよ。
ってあたしのヘッドホン返してください!!
「あ、今すげぇ残念そうな顔した!?」
「話聞いてますか!?確かに残念だったけど!とにかくヘッドホン返してくれませんか、それないとラップ聴けないんです」
いや聴けないことはないんだけど。
「ふーん。ラップ好きなんだ?だからラップ歌ってたんだ」
なに文句あります?
まあ確かにあたしはチャラ男とは対照的に平々凡々な容姿でラップ好きには見えないけど!
って……今チャラ男
ラップ歌ってたんだって言ったよね。