離してなんかやるかよ。
「宇佐美さんってさ。好きな人いる?」
学校を出た帰り道。
松本くんは今とんでもない質問をしてきた。
ええっ!?
好きな人っ!?
「い、いないよ」
「怪しいな」
ふぁっ!?
怪しい!?
今の発言からしてどこから怪しいと思ったの?
「いないよー」
「ふーん。神崎とかは?」
ええ!?ええ!?ええ!?
「か、神崎っ!?」
神崎かぁ…
ふわっと甘い香りがして甘党で
すごい意地悪で生意気でチャラくて
ラップも好きで
ホラーが苦手で
生き物の生命を大切にする人。
神崎があたしの好きな人…?
そんなの絶対ないないない!!
ないと思うのに何故か胸がドキドキしてる。
「やっぱりねぇ」
え?
松本くんはなにかを言っている。
「え?なに?」
「宇佐美さん。神崎のこと好きなんでしょ?」