《詩集》白の間に

春を待つ

『春を待つ』


凛とした空気
生温い日溜まり
春の足音は遠い

そう大袈裟に首を振る彼女は
誰よりも春を待ってた

ひらひらと揺れる
淡色のマフラーの端
引き留めようと捕まえたって
今日は過ぎてく

だから明日なんて来なくても良いと
いつも思っては言えないで
さよならの春を待つ君と
同じ顔して沈黙の日々

ぐずったままの思考を
ブレーキ音が裂いて
振り返った空は
心なしか苦いマーマレード

風が運ぶ花の香りに
擽られるようにして君が笑って
冬が去ってく

ああ
春が待ち遠しいなんて
そんなのは嘘だ

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