《詩集》白の間に

雨粒

『雨粒』


雨が降る

生温い風と
低く飛ぶツバメを見て君は呟いて
僕はただ
その横顔だけを見つめてた

もしも雨に
心や感情や愛があるなら
雨は泣いているんじゃないかと
密かに思う

寂しいからたくさんたくさん
一緒に降って一緒に落ちて
そうやって掻き消しては
また落ちる

雨は空へ帰れるんだと
君は嬉しそうに笑うけど
僕にはちっとも理解できない

この想いは一方通行
空から落ちたら上れない

頬を滑ってく雨粒は
二人を等しく濡らしてくのに

僕は変わらず君を見つめて
君は目を閉じ空を仰いだ

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