《詩集》白の間に

地下

『地下』


走る背中を追いかける
一体何処に
それすら知らされていないのに

ただ私を引き寄せる

手応えのない実像
泥まみれの服

静寂が訪れて
心音ばかりが耳に煩い
最初から
零のままで良かったんだ

実らないものを積み上げたって
見下ろされる感覚に
慣れていくだけ

息に混じる感情
浮かんでは滲む嘲笑

隠れて煮えて腐ってくこの想いも
私の中のひと欠片

そんなことも見えない場所で

気付かないまま
真新しいまま
埋もれていれば

眩しさに焦がれる今日も
堕ちる怖さに怯える明日も

何も知らずに済んだのに
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