《詩集》白の間に

くるみ割り

『くるみ割り』


宝石のような
輝かしい物は何も無い
硬い殻の中は空っぽ

手のひらで転がして
息を吹き掛けて暖めたって
劇的に変わる訳もない

どうかせめて
君になれたらな

優しさの詰まった柔らかい君に

瑞々しい笑みが染み渡る
乾いた殻が
割れていく

胡桃ですらない僕は
どうしたらいい

ああ中身なんて無いのに

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