コドモ以上、オトナ未満。


その日の帰り、用事があるという真咲とは学校を出てすぐ別れ、カナコと二人で駅まで向かっている途中のこと。

あたしは、今までどうして誕生日が苦手だったのか、その理由をカナコに話した。



「――お母さんが出てったのがね、誕生日の翌日なの」



お母さんにしてみれば、最後くらい親らしいことをしたいとか、そういう思いがあったのかもしれないけど……

もう家族がばらばらになるってことが決まっているのに、それまでで一番盛大な誕生会を開かれたって、あたしはちっともうれしくなかった。


「そのときだけ仲良く振る舞う両親もしらじらしくてさ……誕生日が“うれしくない日”だって、そのときからあたしの中にインプットされちゃったんだよね」

「そうだったんだ……」


それでも毎年お父さんが何かしらプレゼントをくれたけど、それに感謝をすることもなく……

誕生日は、とにかく憂鬱なもの。

去年までのあたしは、そう思っていた。


< 103 / 211 >

この作品をシェア

pagetop