コドモ以上、オトナ未満。
その日の帰り、用事があるという真咲とは学校を出てすぐ別れ、カナコと二人で駅まで向かっている途中のこと。
あたしは、今までどうして誕生日が苦手だったのか、その理由をカナコに話した。
「――お母さんが出てったのがね、誕生日の翌日なの」
お母さんにしてみれば、最後くらい親らしいことをしたいとか、そういう思いがあったのかもしれないけど……
もう家族がばらばらになるってことが決まっているのに、それまでで一番盛大な誕生会を開かれたって、あたしはちっともうれしくなかった。
「そのときだけ仲良く振る舞う両親もしらじらしくてさ……誕生日が“うれしくない日”だって、そのときからあたしの中にインプットされちゃったんだよね」
「そうだったんだ……」
それでも毎年お父さんが何かしらプレゼントをくれたけど、それに感謝をすることもなく……
誕生日は、とにかく憂鬱なもの。
去年までのあたしは、そう思っていた。