コドモ以上、オトナ未満。


そして迎えた誕生日当日。

お昼休みの教室で、カナコがあたしひプレゼントしてくれたのは、可愛い二段重ねのお弁当箱だった。


「ほら、最近ココちゃん、自分でお弁当作って来るでしょ?」

「ありがとう。……こんな可愛いのもらっちゃったら、料理もっと上手にならないとだね」

「今だって上手だよー! その卵焼きとかキレイだし」


向かい合わせに座って、あたしの広げていたお弁当を覗き見たカナコが言った。

そう言われると、照れる……

確かに、最近ちょっと上達してきたかもって、自分でも思っていたから。



「コーコ」



そのとき、急に上から声が降ってきて、真咲が後ろからあたしの肩を椅子ごと抱き締めた。

こういう、人前でべたべたするのってどーなの、と思わなくもないけど。

真咲があまりに自然にやるから、恥ずかしいと思いながらもいつも受け入れてしまう。


「カナコちゃんに何もらったの?」

「……コレ」

「お、可愛い。じゃあ今まで使ってたそのシンプルなやつで、今度から俺にも弁当作って」

「え。……別に、いいけど」


一人分作るのって、実は量の加減とか色々難しかったんだよね。

お父さんはあたしより家出るの早くてお弁当間に合わないから、真咲が食べてくれるなら、こっちも助かるかも。


「やった。ハートのご飯とかにしてくれる?」

「……それはヤダ」


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