コドモ以上、オトナ未満。
だからって、なにもあたしの誕生日に、あんな当てつけるような真似しなくたって……!
手でぐいっと目元を拭ったら、前髪を留めていたピンに手が当たり、あたしは衝動的にそれを外して、荒々しくバッグの中に突っ込んだ。
「わけ、わかんない……っ」
さっきの状況も、自分のぐちゃぐちゃな気持ちも、この涙の理由(わけ)も。
ひとりじゃ全然処理できそうになくて、あたしはスマホを出して耳に当てた。
『……ココちゃん? どうしたの?』
声を潜めるようにして電話に出たカナコの声を聞いて、あたしははっとした。
「カナコ……ごめ、部活中……だったよね……」
『それは別に平気だけど……もしかして、泣いてるの?』
「……ふ、ぇっ」
返事をしようとしたら、代わりに情けない泣き声が漏れてしまった。
だって、カナコの声聞いたらなんだか安心して、余計に泣けてきちゃったんだもん……
『……ココちゃん、今どこ?』
「わかんない……どっかの……公園……」
『何か目印になるものとかないかな?』
「……めじるし……」
うつろな目で辺りを見回して、あたしはとりあえず特徴的な遊具を見つけたのでそれを伝えてみる。
「恐竜の……カタチ、したすべり台がある……」