コドモ以上、オトナ未満。
*
「……真咲くんが、そんなこと……」
「その相手……真咲の初恋の相手なんだ。だから、別に、不思議ってわけでも、ないんだけどさ……」
ただ、真咲の心が京香さんに戻っただけ。
ううん、むしろ、あたしのことは最初から好きじゃなかったのかも……
「そんなことないよ、不思議だよ。だって、お昼休みはあんなに……」
「……無理してたんじゃない? あたしにばれないように……」
「ココちゃん……」
……ダメだ。せっかくカナコに来てもらったのに、あたし、困らせるような発言ばっかりしてる。
「帰ろっかな……この顔、夜までになんとかしないとお父さん心配するし」
「おうちに、一人でいて、平気……?」
「うん。……来てくれてありがと。少しは、落ち着いた」
そう言っても、まだあたしのことが心配らしいカナコは、そのあと家まであたしを送ってくれた。
その間はほとんど無言だったけれど、自宅の前でカナコと別れるときに、あたしは意を決したように口を開いた。
「あのさ……カナコ」
「うん?」
考えても、胸が痛くなるだけ。
涙が止まらなくなるだけ。
「もしも、真咲からカナコに、何かいいわけするようなことがあった時には、こう言っといて」
……だったらあたしはいっそ、考えるのをやめるよ。
「アンタなんか、大っ嫌い――って」