コドモ以上、オトナ未満。

ずるい大人たち -side 心矢-



ココの誕生日の三日前、日曜日のこと。

俺は賢人を呼び出して、女の子が好きそうな雑貨屋が立ち並ぶ通りをぶらついていた。

二人とも身長がデカくて並ぶとちょっと目立ちすぎるので、賢人は帽子、俺はだてメガネで変装中だ。

そうまでして街にでてきた理由は、もちろん――


「……なんでココちゃんのプレゼント買うのに俺がつきあうわけ?」

「いや、だってお前もココのことは知ってるし。二人で考えた方がいいものが選べるかと思って」

「お前って……そういうとこ、ホント馬鹿だな」


呆れたように言う賢人。

馬鹿って……なんでだ?

俺はココの喜ぶ顔が見たいだけなのに。


「俺の選んだモンなんて、ココちゃんは欲しくねーっつの」

「二人で一緒に選べば大丈夫だろ」

「……だから、そこがお前は馬鹿なんだって。見かけは“恋愛マスターです”みたいな顔してるくせに、乙女心ぜんぜんわかってねーんだな」


……どういう顔だよソレ。

ひどい言われように若干顔を引きつらせつつ、でもなんとなく説得力のある賢人の話にそのまま耳を傾ける。


「いいか? 大事なのは“何をあげるか”じゃない。どれだけココちゃんのために悩んであげるか、そこが重要なんだよ」

「へえ……勉強にナリマス」

「心にもないことを言うな。つかまぁ今のは、妹の受け売りだけどな」


……妹、か。

賢人の面倒見のよさとか、人間関係うまくこなせる性格は、やっぱ兄弟いるからなのかな。


< 113 / 211 >

この作品をシェア

pagetop