コドモ以上、オトナ未満。
【ココちゃんがお店に来る前に、少し話があるんだけどいいかな。お祝いの準備はちゃんとできてるから】
翌日、京香さんからのそんなメールに気がついたのは、学校が終わってちょうど教室を出たところだった。
話って、なんだろ……
今さらそんな改まって、京香さんが俺に話すことなんてあるのかな。
不思議に思いながらも【わかりました】と返信して、なんとなくだけど早く行った方がいいような気がした俺は小走りで京香さんの店へと向かった。
肩から下げたバッグが揺れる度、中のプレゼントの包装が汚くならないかなと心配しながら。
そうして着いた店の前で、少し乱れた息を整え、俺は扉を開けた。
カウンターの中に、京香さんの姿があるのはいつも通り。
でも、その表情がいつもより暗いような……
「――あ。早かったね、心矢くん」
「うん。走って来たから。……京香さん、なんかあったの?」
俺はそう言うと、彼女の目の前の椅子に腰かけ、カウンターにひじをついて座る。
京香さんは曖昧に微笑み、カウンターにグラスを二つ置いた。
それから棚に並んだお酒の中からウイスキーらしきものを選んで二つのグラスに注ぐと、カウンターから出てきて俺の隣に座った。
「……ちょっと、一緒に飲んでくれない?」