コドモ以上、オトナ未満。
「……カナコちゃん。俺、ちゃんと謝るよ。たとえ許してもらえなくても、ちゃんとココに謝りたい。だから、今ココがどこにいるのかだけ教えて。……頼む」
電話の向こうの彼女に見えるわけもないけど、俺は言いながら深々とお辞儀をしていた。
こんな行動は、すごくカッコ悪いと、自分で思う。
でも、ココのことになると、なりふり構っていられない。
それほど本気で、ココを好きだから。
『……ココちゃんなら、そこにいるよ』
やがて聞こえた、カナコちゃんの静かな声。
「そこ……?」
『私と別れてからは、お家にいると思う……でも、たぶん、真咲くんには会ってくれないよ』
なんだって……? ココはずっと、家にいたのか?
思わず、背を向けていたココの家の建物の方を振り返り、夏休み中に一度上がったことのある、二階のココの部屋に目を向ける。
「……ココ?」
カーテンの隙間から人影が見えた、と思った瞬間、その人影がカーテンを慌てたように締め切った。
俺は揺れるカーテンの向こうが見えるわけもないのに、目を凝らして二階を見つめ続けていた。
でもそこは、二度と開くことはなくて。
『アンタなんか、大っ嫌い』
「……え?」
『……ココちゃんからの伝言だよ。私は別に真咲くんに恨みはないけど、今回のことは、真咲くんが悪いと思う。……それじゃ』