コドモ以上、オトナ未満。


プツッ――。と電話の切れる音が聞こえると、俺の中でも何か張りつめてたものが切れた気がした。


……誰も、俺の話を聞いてくれない。

俺だけが、悪者。

今日を楽しみにしてたのは、何もココだけじゃないのに。

俺だって、遠足控えた小学生みたいに、昨日はなかなか寝つけなくて。

学校でも、カバン開ける度にのぞくプレゼントにニヤついたりしてたんだ。

……なのに。


「だいっきらい……って。ココの気持ちは、んな簡単に変わるモンだったのかよ」


ひとりごとのようにそう呟いた俺。

だいたい、俺だって京香さんにハメられただけなのに、どうして謝んなきゃなんないわけ?

どうして、少しも信じてくれなかったんだよ……

一旦そう思ってしまうと、ココに対するイラつきがどんどん増していくのがわかった。


そんな思いのまま、帰り道に通りかかった公園で、金網でできたゴミ箱を思いきり蹴飛ばしたら、近くにいた小学生が逃げて行った。

それを見て、少しだけ頭が冷えてきた俺。

……俺、コドモの味方になりたいのに、怖がらせてどーすんだよ。

くしゃっと前髪をつかんで、ため息をつく。

もう、今日は何も考えたくない――。


そう思ってたどりついた自分の家で、俺はまたしてもため息をつくハメになった。



「――だから! 心矢は私が連れて行くって言ってるでしょ!」



玄関に入るなり、母親のそんな金切り声が耳に入ったからだ。


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