コドモ以上、オトナ未満。


……久しぶりに、派手な喧嘩してるみたいだな。

しかも、その内容はどうやら俺のこと。

みんな、俺のいないトコで、勝手に何もかも決めようとするんじゃねえよ……


いつもなら、サラッと無視して通り過ぎるリビング。

だけど、今日の俺は虫の居所が悪くて、両親のやり取りに口を出さずにはいられなかった。


「……ただいま。母さん、デカい声出すの止めろよ。玄関まで丸聞こえ」

「心矢……!」


たぶん、俺の忠告なんて耳に入ってないのだろう。

母さんは“救世主が来た”みたいな顔をして俺の腕を引っ張り、ソファに座る父の前に無理矢理連れて行った。


「……今日は、ずいぶん早いんですね」


この辺りで一番デカい総合病院の、理事長とかいうエラそうな肩書きを持つ俺の父。

そのせいか家の中でも態度がデカくて、昔から父親にだけは敬語を使うようにも言われていた。


「ああ。お前と話をするために仕事を早く切り上げてきたんだが……お前の方が遅かったみたいだな。どうせくだらん連中と遊んでいたんだろ」


こんな嫌味にいちいちキレてたら、身が持たない。

経験上それを知ってる俺は、冷めた声で聞く。


「……話って言うのは何ですか」


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