コドモ以上、オトナ未満。
「お前の意思の最終確認だ。――“この家に残る”か、“母さんと一緒に出て行く”か」
「そんなの、言うまでもなく――」
そう、言いかけたのは自分なのに、言うまでもなくどっちなのか、一瞬答えに迷った。
“この家に残る”――以外の選択肢なんて、今まで考えもしなかったのに。
「……心矢?」
後ろから、心配そうに顔をのぞきこんでくる母さん。
母さんと一緒にこの家を出た場合、母方の実家がある北海道に行くことになる。
そうなったら、転校だし。
大学だって、こっちの方が選びやすいし。
あっちは、寒いし……
なにより、そんなことになったらココが……
その顔が脳裏に浮かぶのと同時に、胸の内に渦巻く疑問。
ココは……俺と離れることを、どう思う?
悲しむ? 寂しがる?
……それとも。せいせいする?
「――まあ、母さんには何度も言っているが、こちらに残る方が得策だと思うぞ。進路のこともあるが、今の高校に通い続けていれば、お前が万が一馬鹿な真似をしても、父さんの力で“揉み消せる”からな」