コドモ以上、オトナ未満。
「…………北海道に、行きます」
そっちが“いい”わけじゃないけど。
ここに居ることの意味が、わからなくなってきた。
父さんのことも。
ココのことも。
京香さんのことも。
今は何も、考えたくない……
「心矢! お母さんの気持ち、わかってくれたのね!」
「そうか……わかった。では、転校の手続きだな」
おおげさに感激する母さんと対照的に、事務的な様子の父さん。
俺はそんな二人を交互に見ながら、ふとあることに気が付いてこう言った。
「その手続きですけど。学園祭が終わるまで、待ってもらっていいですか?
俺、実行委員なんです。それだけはやり遂げないと、なんか後味悪いし」
「学園祭か……まあいいだろう」
「ありがとうございます」
ぺこ、と父に頭を下げると、俺はリビングを出て行き自分の部屋へ向かった。
床にバッグを放り投げ、ベッドに倒れ込むと、少しだけ気持ちが落ち着いてくるのを感じていた。
……もう、ここを去るって決めたからだろうか。
ココへの苛立ちも不思議とおさまり、やっぱり今日のこと、一度謝っておきたいと思った。
それから……転校のことも伝えよう。
別にどう思われてもいい。
とりあえず、今までありがとうって。
それだけ言えれば――――。