コドモ以上、オトナ未満。
あの日の真実
話があるんなら、聞いてあげてもいい。
あたしの心境がそう変化するのと裏腹に、真咲はむしろあたしに近寄らなくなってきた。
今まで、冷たい態度を取り続けたんだから、当然と言えば当然。
だけど、恩田先生に変なことを言われたせいで、あたしはそれが歯がゆくて仕方がなかった。
もう……こっちから話しかけるしかないのかな。
今さらなんだよって思われないかな。
そう思われたってショックを受ける必要はないはずなのに、真咲にそっけなくされることを想像すると、あたしはなぜか臆病になった。
そうして結局ちゃんと話しができないまま、時間は過ぎて。
教室のカレンダーはいつの間にか、十月に変わった。
「あ、ペンキが足りなくなりそう……」
「ホントだ。……あたし、買ってこよっか」
壁画も完成に近づいていたある日の放課後、あたしは一人で買い出しに行くべく、スカートを翻して立ち上がった。
「それなら私も」
「ダメだよ。カナコがいないと、絵の細かい部分わかる人がいなくなっちゃう」
「そっか……」
しょんぼりするカナコに「一人で大丈夫だから行ってくる」と言い残して教室を去ろうとしたあたし。
するともう一人の実行委員が、後ろからあたしを呼び止めた。
「……ココ、買い出し? なら、一緒に行くけど」