コドモ以上、オトナ未満。
「でもね、心矢くんは、そんなの間違ってるってちゃんとわかってて」
京香さんは、夜空にひとつため息を吐き出して、寂しげにこう言った。
「ハッキリ、言われちゃった。“今はココのこと以外、考えられない”――って」
……うそ。
あの日、真咲は京香さんにそんなことを……?
そんな。
じゃあ、あたしがずっと冷たい態度を取り続けた意味って……
「だからね、ココちゃん。さっきはまだ仲直りしてないって言ってたけど、心矢くんのこと、許してあげて欲しいな」
「……許すも何も、あたし……」
そんなこと、知らなかった。
言ってくれればいいのに――なんて思う権利、あたしにはないのに、それに似た気持ちが、心に湧きあがる。
真実を知ろうとしなかったのは、自分の方なのに。
でも、京香さんに本当のことを聞いて、ほっとしている自分がいる。
あたしより京香さんを選んだわけではなかったって。
そのことがこんなに心を楽にするってことは、あたし、やっぱり……
「どうしよう……真咲に、謝らなくちゃ」
あの日の行動だって、パッと見であたしはすぐに真咲を疑ってしまったけど。
あれはきっと、あたしが今日咄嗟に京香さんを助けたのと同じ。
ココロより先に、カラダが動いたっていう感じなんだと思う。
……そんなの、ちゃんと考えれば、最初から分かったことじゃん。
真咲はいつだって、優しかったじゃん。
なのに、あたし一人で勝手に拗ねて、カラに閉じこもって……何やってんだろ。
もう、自分でも、気がついていたのに。
――真咲のこと、キライになんか、なってないって。