コドモ以上、オトナ未満。

遅すぎた仲直り



「――じゃあ、私は、ここで」


校門の前まで来たところで、京香さんがそう言って微笑み、あたしに背を向けた。


「あの……っ」


とっさに呼び止めると、京香さんは不思議そうに振り返る。


「京香さん……もう、平気なんですか?」


表面的には、いつもの彼女に戻ったように見える。

だけど、京香さんの身に起きたことって、そんな簡単に傷が癒えるものじゃないと思う。

もしもまた、さっき歩道橋で彼女がしようとしたような、危ないことが起きたらって思うと、心配で……

京香さんは首を横に振り、笑顔を浮かべながらもそこに寂しさの滲んだ、複雑な表情で言った。

「ううん。……正直、ダメだと思う。このまま一人でいるのは」

「京香さん……」

「でも……さっきココちゃんに助けられて、思ったの。まだ親しくなったばかりの、自分より年下の子に迷惑かけるなんて、ホント情けないって。だから、私ね……あのお店閉めて、実家に帰ろうと思う」


何かが吹っ切れたようにそう言った京香さん。

彼女の長い髪が、夜風になびく。


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